2024年5月号 『「宇宙的卵割」を起こせ 』

～ 分けた後に統合が来る、位置の統一化 ～

ヌーソロジーにおいては「卵割」という概念がたびたび登場する。「時空が一つの宇宙卵であるとするならば、この二つの方向への分解は宇宙的卵割に相当する」「自他双方から、奥行きを差異化することによって、この宇宙卵に卵割を行うことが必要」･･･広宣氏はたびたび「宇宙的卵割」という比喩を使う。

宇宙の根本原理とは「自己と他者」であり、人間の意識はその片側しか見えず結果的「同一性」の世界に閉じ込められている。この領域では「生成」の能動力に触れることができず、それが人間を「消費し続けるだけの欲望機械」へと貶める。人類に山積する問題の全てはここに起因すると言っても過言ではない。

そんな人間の行く末に希望などない。だがその「希望の無さ」は「別のもの」の到来を予感させる･･･人間の終焉によって、次の霊性文明がスタートする･･･ヌーソロジーが目論む意識進化とはそのような方向性だ。

意識進化は「受精と卵割」によって開始される。「受精から誕生までの胎児の胎内生活は覚醒期の投影」とオコツトが言うように、卵割さえ起これば、後はごく短期間の内に凄まじい変容のプロセスが生じてくるだろう。

道元は「生と死」を、ドゥルーズは「過去と未来」を、ゲーテは「光と闇」をはっきりと分けた。人間の意識はここが混濁しているのだ。ヌーソロジーによる「受精と卵割」は意識に変容をもたらし、彼ら先達の真意は理解され、さらにその先の道が開かれてくる。

「中和」側の領域･･･「偶数先手」の人間の意識は、この「卵割」によって顕在化を起こす･･･このことを一貫したロジックをもって表現するのが今回の主旨。中でも「統心のペンターブ解説」がここ数年のレクチャーにおける最高のパフォーマンスを発揮している。

統心流ペンターブ「負荷・反映・等化・中和・進化」の解説･･･以前より小出しにしてきた内容だが、ここ数年獲得してきた叡智を盛り込みアップデートした。もの凄い熱量と説得力、そして「生きる叡智」を全身全霊で語っている。

「負荷・反映・等化」までは「一瞬にして同時」、さらに即時で「中和」へと落とされる。人間はこの中和において安定し、この領域に閉じ込められる･･･現場に即して、生きる身体として語られる統心流解説は、きっと聴く者に「受精と卵割」をもたらすだろう。

大阪レクチャーシリーズの中でも屈指の作品が爆誕した。とくにヌーソロジー歴の長い人、ベテラン勢こそ必見である。2024年「自己側ラスト」の年に見るべき作品。2025年を前にこれを決して見逃すことなかれ。

さあ、この作品を見て共に「宇宙的卵割」を起こそう！